【コメント】
SMC PENTAX 15mmF3.5も旭光学とカールツアイスとの提携話が進んでいた頃,共同で開発さ
れたレンズの一つと推定されるレンズである。あくまで推定ですから(笑)。
このレンズは兄弟従兄弟系の設計レンズが多く,Y/C DISTAGON 15mmF3.5,
Rollei QBM DISTAGON 15mmF3.5, Lieca(R)Super Elmar 15mmF3.5と類似(共通?)の設計
レンズが3本もある。これらを真似たNikkor15mmF3.5(ツアイスコピーはニコンの伝統です。
ニコン信者の方怒らないでね)もある意味従兄弟みたいなレンズと言えよう。このように
日本光学(当時)が真似るということからも,このレンズの基本設計が如何に優秀であった
ことが伺える(苦笑)。
「このレンズはタクマーではないので非球面ではない」と諸説語られることが多かったが,
私が当時Kマウントが出た時に買ったボディと共に付属してきた7511の記載のある
”smcペンタックス”という取扱説明書を見ると,その取扱説明書にはちゃんと非球面の
記載があり,Kマウントでは非球面バージョンが存在しないという説をいう方もいるが,
公式にも非球面バージョンが存在するということが分かる文献である。
取扱説明書をいくつか入手した中から変遷を見てみると、途中から取説に”非球面”の記載
がなくなり,全レンズ球面へ変更されたようである。
また,最近私の調査で,このレンズの非球面と球面の違いは,どうもレンズ名の刻印デザインの
違いで,容易に分かるようである。ちなみに最近色々なサイトやオークションで出されているレン
ズの画像を拝見するとSMC-TAKUMAR15mmF3.5との関連を見ることができた。
PENTAXレンズ版の15mmF3.5は名盤の字体が2種類あることがわかった。
”SMC PENTAX 1:3.5/15”(非球面)
”smc PENTAX 1:3.5 15mm”(球面)
SMC TAKUMARレンズの名盤表示は以下の字体になっている。
”SMC TAKUMAR 1:3.5/15”(非球面,Product number 44002)
また、当時のカタログが手元から出てきたので、よく見てみると重量が600gであり、中村文夫氏
の本では550gとなっている。重さも非球面の方がどうも50gほど重いようである。実際に測っ
てみると600g(レンズのみ)あった。不思議なことに7511の取り説は550gとなっていて、Mシ
リーズの最初のカタログには600gとなっている。後期モデルである球面のsmc PENTAX 1:3.5/15mmを
入手したので早速計ってみたところ、やはり同じ600gであった。
ちなみに刻印は、このままのレンズの写真が掲載されている7812と記載の取扱説明書で
は”非球面”の記載は姿を消している。後期のモデルの刻印は,現行SMC PENTAX
A15mmF3.5と同じで,”smc PENTAX 1:3.5/15mm”となっ
ている。ちなみに,K後期とAの違いは絞りの等間隔の精度の差とAポジションの追加だけで,
光学系は変更されていないと推定している。
それから、最近友人からレンズの写真を見比べて気がついた点を指摘された。
feet表示目盛りの数字系列が異なるのである。(^^)V 恥ずかしながら、全く気がつかなかった。
非球面バージョンは7・4・2・1.5・・・
球面バージョンは7・3・2・1.5・・・となっているのである
【光学系】
私の最近の調査により、どうもこのレンズはツアイスから出されたUS-PAT3864026 Eample4
が、このレンズの特許ではないかということがわかったので計算してみた。
12群13枚構成。構成図を見ると(前) 凹凹凸凹(凸凹)凹凸F凸凹(AL)凸凸 (後)

となっており,F(フィルター)が内臓式である。このため、フィルターを考慮した設計といえ
る。このレンズの一部(前期)とSMC-Takumar 1:3.5/15の一部が同時に生産されていた時
期があり,ツアイスから提供された世界初?のハイブリット非球面レンズ(10群目)が
一枚使われたものであると言われている歴史的なレンズである。その当時日本ではまだハイブリッド非球面の
技術は確立されていなかったらしい。
恐らく提携話がなくなり,ハイブリッド非球面レンズが供給されなくなったために,非球
面を用いない設計に変更したのが,後期モデルが登場した大きな理由だろうと私は推定し
ている。
いずれにしても球面で同等の設計変更が容易にできた旭光学のレンズ設計技術の高さが、
汲み取れるレンズであろう。
また,このレンズの断面図が取り扱い説明書やカタログに掲載されているが,取り扱い説
明書の初期から一貫して変わっておらず,非球面から球面への変化はほんの僅かであり,
レンズ構成断面図では判別が付かない程度であると推定され,一部の本には誤った形で掲
載されているようである。これが混乱を招く原因の一因だと思われる。
蛇足であるが,非球面信仰みたいなところが一部のマニアにはあるが,製造の容易さと実
際の物が設計値に近い製造較差の少ない優秀なレンズが生産される生産性を考えると球面
のレンズで,すべて賄う方が安定した製品が得られることは、この業界では周知の事実であ
る。よって,非球面をやたらに使わない方が実はメリットが多いという事実は意外と知ら
れていない。しかし,営業的にはアスフェリカルやらAL,ASPHの文字が躍るとイメージア
ップに繋がる事実は否めない。当時非球面を用いながら,レンズ名称に全然この記載がな
い点は旭光学らしい気がする。(宣伝が下手なんですよね)
【描写印象】
歪曲がよく補正されており,画角111度を感じさせない優秀な設計のレンズであり,当
時の超広角レトロフォーカスの設計技術で進んでいたペンタックスの技術を元にツアイス
のテイストが組み合わさったと感じられる優秀な描写を示す。前玉が大きいために(五角
形)ゴーストが出易いのが使用上の難点である。私はなるべくこのレンズは曇天の時に使
用するように心がけている。このレンズはやはり非球面で球面レンズの後期の方が星像が
いいことが最近比較してよくわかった。しかし、この画角を考えると倍率の色収差がよく
抑えられており、いい像を示すと思う。
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