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 寅次郎ハイビスカスの花(特別篇)


    

リリーからの手紙、さくら読む

寅さん、あたしのこと覚えてる?

「覚えてるよ、お前のこと、忘れるわけないじゃない、馬鹿だなあ」


この間、東京で、博さんに会って、あんたのこといろいろ聞いたわ

「なんだ、いろいろって、お前、なんか俺の悪口言ってんじゃないのか」

今頃、寅さんどうしてるのかしら、
どっかできれいな人と恋でもしてんのかしら

「お前、誤解ですよ、誤解」

あたし、今病気なの、 歌を歌ってる最中に血を吐いて、
この病院に担ぎ込まれたの、先生は気の持ち方で必ず良くなるって言うけど、
でも生きてたってあんまりいいことなんかないしね、別に未練はないの、
ただひとつだけ、もういっぺん寅さんに会いたかった、
寅さんの面白い冗談を聞きたかった、
それだけが心残りよ

「駄目!飛行機は、駄目!」

さくら「どうして?」

社長「怖いのかい?」

「怖い、怖くない!怖くないけども、ヒコーキはイヤ!」

「金の問題じゃないの、イヤなものはイヤ!
高いとか低いとかの問題じゃないんだよ、イヤなものはイヤだっつってんの!

ヤダよ!

ヤダっつってんだよ!

乗らないっつてんものは乗らないんだから、乗らないっつうの!」

羽田の飛行場

「ヤダ! ヤダ! ヤダ!」

「馬鹿野郎!じゃ、お前が、芋食って、穴から屁が出て、それで空飛ぶか、
非常識だよ」

博「ナンセンスだなあ」

綺麗なスチュワーデス一行、通りかかる。

「こんにちは」

スチュワーデス「こんにちは」

「これからお出かけですか?」

リリーの入院先で10年ぶりに

「リリー、どうしてお前そんなにしわくちゃになっちまって、
それじゃ、道で、すれ違ったってわからねえじゃねえか、
寅だよ、俺のこともわからねえのか、
かわいそうになあ・・・?・・・

リリー、なあんだい、お前此処に居たのか、あー、よかった、えへっ、
俺、今、しわくちゃのババアとお前のことと間違えちゃってよ、
お前、昔と少しも変わらね、安心したよ」

リリー「寅さん」

「うん」

リリー「来てくれたのね」

「ああ」

リリー「あたし、うれしい」

「よしよし、寂しかったんだろ、一人ぼっちでなあ、
もう、俺がついてるから大丈夫だから、
えっ、泣くな、おい、泣くんじゃないよ、み、みっともないから、なっ」

寅も泣いてる。
照れ笑いの後、

「あっ、そうだっけ、おみやげあるんだよ、
うん、おばちゃんがね、ふん、リリーにさ、
この、川魚の佃煮を作って、食わしてやってくれって、へっへっ、へっ、
これ、さくらがな、浴衣着ろってよ、うん、
これはな、あの、おいちゃんと博が、トランジスタラジオだって、

うん、へっ、えーっと、あはは、裏のタコが、くれたよ、
いくらもはいっちゃいねえだろ、えっ」

リリー「嬉しいなあ、お見舞いもらったの、初めて」

「あ、そうかあ、うん
おっ、まだあるぞ、えっ、これ、御前様、御前様くれたよ、へっへっ
これなんだい?さくらなんでも入れるからな、これエプロン?!
あっ、俺の褌だ!」

リリー「寅さん」

「ええ、何だ」

リリー「こうやって目瞑って寝てしまうでしょ」

「うん」

リリー「そして明日の朝、目が覚めたら、
寅さんこうやって御飯食べさせてくれたの、みんな夢だったりして」

「馬鹿だなあ、お前、だったら、自分の体抓ってみろよ、いてえから」

リリー「じゃあ、抓ってみて」

「えっ!ど、どこら辺りよ」

リリー「どこでもいいから」

「うーん、どいとこ抓ってみるかなあ、ここか」

りりー「痛い!」

ホテル入船でさくらへの手紙を書く寅次郎

さくら、飛行機の一件じゃ世話んなったな、
無事沖縄に着いて、元気で暮らしているから安心しろ、
さて、リリーのことだけどな、俺本当に来てやってよがったよ、
看護婦の話じゃ、俺が来るまでは、医者の言うことなんか何にも聞かない
我儘な病人だったらしいけど、俺が来てからは、すっかり素直になって、
この調子じゃ、もう大丈夫と、医者も太鼓判を押してくれたよ、
雨の日も、風の日も、俺は病院に通い続けて、あいつを慰めているよ、
近頃は良く笑うようになってな顔色も良くなってきたし、
だんだん昔のリリーに戻ってきたよ、

(たかみ病院で)

「何だ、お前、おめかしなんかして、どうかしたのか?」

リリー「二枚目が訪ねて来んだもん」

「誰が、い、いつ来るの?」

リリー「もう来てるよ」

「ど、どこに?」

リリー「私の目の前」

「馬鹿だねこのお前、ふふ、そういうこといっちゃいけないよ、
お前、堅気の衆が本気にするじゃないか、馬鹿だな、へっへっ、
ほらあ、ほらあ、へっへっへっへ」

(照れながら花束を渡す寅であった)

まっ、そういう訳で、
俺は、当分此方に滞在するが、元気で居るから心配するな、
博やおいちゃんおばちゃんたちにくれぐれもよろしく言ってくれ

沖縄のホテルにて 兄貴

「あっ、痒いなあ、畜生、
・・?・・・泊まるの? おばちゃーん、お客さんだよー!」

リリーからの手紙さくら読む。

(前略)
とらやの皆さん、この度は本当にご心配をお掛けしました。
お陰で私、退院したんです。
一時はもうやけくそになって死ぬ覚悟までしたんですけど、
今はあの頃のことが夢のようです。
寅さんが本部(もとぶ)の町の海岸に部屋を借りてくれて
今そこで暮らしています。
空気が綺麗で水が澄んでてとってもいいところですって、
毎日新鮮なお魚を食べてぐんぐん元気になってるって、
皆さん、本当に有難うございました。
それじゃ、お元気でさようなら

沖縄にて リリー

追伸 寅さんから、くれぐれもよろしくとのことです。
今夜は泡盛を飲みすぎて私の傍でひっくり返って寝ています。

行き倒れ

水団 柿 おいものほしたの

お医者さん呼ばなくっちゃ

息してるか、息

長旅による極度の疲労

聞こえません

はい!

並びに栄養失調

三日三晩飲まず食わず

特製の鰻重

寅ちゃん
空っぽのお腹にそんなもの食べたら腹痛起こしちゃうわよ

重湯 温かい牛乳 葛湯

ボービンボビーンボービンボビーン

トラ、博の手に噛み付く。

お兄ちゃん、死んじゃうわよ

天婦羅蕎麦 お鮨(上)800円

「三日三晩飲まず食わずで、沖縄から帰って来たんだからなあ、
腹減っちゃて腹減っちゃってしょうがないよ」

つね「その台詞はね耳にタコが出来るほど聞いたよ」

「タコでもイカでもいいから、早いとこ食わしてくれよー、
本当にもう、あったま(?)きちゃって、ほんと・・・」

ゴーヤチャンプール ミミンガの刺身 泡盛

ハイビスカスの花 月の光

リリー「私、幸せだった、あん時」

「リリー、俺と所帯持つか」

あーあ、夢か

生きてる間は夢(シェークスピア)

草津交通
上荷付場
バス停

「何処かで、お目に掛かったお顔ですが、ねえさん、何処の何方です?」

リリー「以前、おにいさんに御世話になった女ですよ」

「はて?こんないい女お世話した覚えはございませんが」

リリー「ございませんか、この薄情もの 何してんのさあ、こんなところで」

「俺は、おめえ、リリーの夢を見てたのよ」

リリー「ちょいと、この人も乗せてあげて」

「これはこれは、バンドの皆さん、いつもリリーが御世話になっております」

「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花(特別篇)」(1997年・平成9年)

  



マドンナ

浅丘ルリ子 本名:浅井信子 1940年7月2日生 満州国新京市(中国・長春)出身

1971 石坂浩二と結婚
1975 キネマ旬報主演女優賞 ブルーリボン賞主演女優賞
2000 石坂浩二と離婚
2002 紫綬褒章受賞

映画

1955 緑はるかに
1956 愛情
1957 十七才の抵抗
1957  鷲と鷹
1958 絶唱

1960 雑草のような命
1960 十六歳
1961 どじょっこの歌

1962 銀座の恋の物語
1962 憎いあンちくしょう
1962 若い人
1962 愛と死のかたみ

1963 アカシアの雨がやむとき
1963 結婚の条件
1963 夜霧のブルース
1963 丘は花ざかり
1963 太平洋ひとりぼっち

1964 赤いハンカチ
1964 夕陽の丘
1964 太陽西から昇る
1964 執炎
1964 若草物語

1965 夜明けのうた
1965 泣かせるぜ
1966 二人の世界
1966 骨まで愛して
1966 栄光への挑戦

1967 夜霧よ今夜も有難う
1967 日本一の男の中の男
1968 狙撃

1969 栄光への5000キロ
1969 私が棄てた女
1969 女体
1969 華やかな女豹

1970 愛の化石
1971 愛ふただび
1971 嫉妬
1971 告白的女優論
1972 蒼ざめた日曜日
 1972 影狩り

1975 想い出のかたすみに
1978 渚の白い家

1986 鹿鳴館
1994 四十七人の刺客

2006 博士の愛した数式

テレビ

1956 僕と私の日記
1958 桃太郎
1968 水色の季節
1969 90日の恋
1970 朱鷺の墓
 1971 2丁目3番地
1972 3丁目4番地
1972 愛について
1972 冬物語
1973 さよなら・今日は

1974 白い滑走路
1974 樹氷
1975 くされた縁やな

1976 新車の中の女
1976 二丁目の未亡人は、やせダンプといわれる凄い子連れママ
1976 春の日
1976 ふれあい

1977 炎の中の女・椿姫より
1977 秋日記
1978 家族熱
1980 渚の女
1981 土曜日曜月曜

1982 カムバック・ガール
1982 他人家族
1982 非行主婦・アル中の女
1982 45回転の殺人

1984 離婚テキレイ期
1985 夢のあとさき
1987 ここの岸より
1987 秋のシナリオ

1989 アイラブユーからはじめよう×××
1990 渇いた夏

2003 すいか
2007 セクシーボイスアンドロボ

舞台:

1979 ノートルダム・ド・パリ
1985 恐怖時代
1986 貧民倶楽部
1988 欲望という名の市電
 1997 カルメンと呼ばれた女
2002 憎いあんちくしょう
2002 伝説の女優
2006 おかしな二人



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