チャレンジャー・細い手
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今村という男に因縁をつけて路地裏で脅していたチンピラが死んだ.首を4重に細い鞭のようなものを巻き付けられての窒息死である.実は今村は謎の組織により誘拐監禁されて「軟体人間」になっていたのだった.手足はもとより体中がぐにゃぐにゃになり伸び縮みし,これによりチンピラを絞め殺したのだ.
盗みをはたらき警察に追われた今村はビルの屋上に手を伸ばして伸び上がり,逃げ込む.追う警察とSRIは,花瓶が置かれた一室に踏み込む.花瓶の中に入り込んでいた軟体人間が手を伸ばし,のぞき込んだ竜崎を襲う.捕まった今村は告白する.
「誘拐されて奥多摩の山中に連れていかれ,3ヶ月間監禁されて実験された.」
「人間軟体化の実験で,その実験が成功したおかげですき間から逃げることができた」
その証言の山小屋に警察が出向くと,小屋は突然爆発.謎の組織は闇のまま.
恐怖人間・死神と話した男たち
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「恐怖の電話」の原作であるが,ラストが少し違う.
突然電話が鳴る.一同はっと見つめる.
さおり:「馬鹿みたい.事件はもう終わったんでしょ」手を伸ばす.
野村:「まてまて,おれにまかせろ.はい,こちら… 何?てんぷらそば3つにきつねうどん2つ,バッキャロ,うちは蕎麦屋じゃねぇや」
ガシャン,と電話を切る.
チャレンジャー・フランケン1968
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登場人物が放映版とは異なっている.
- 虎井兵馬 28歳
- 竜崎京助 24歳
- 猪熊栄三 21歳
- 的矢 忠 47歳
- 古川さおり 19歳
- 町村警部
SRI専用車に関する記載がある.外見は普通.内部は新兵器と捜査器具,無線装置,それに加えてSRI犬(ペス)も乗っている.(子供向けを意識していたと思われる)
銀座で時価300万円相当のダイヤが盗まれた.警官が駆けつけると犯人はビルの側面に吸い付きうごめいていた.追いかけた警官が発砲した弾が当たっても死なず,ビルから飛び降りても起き上がり逃走した.残された指紋から阿久沢という大泥棒が犯人と断定されたが,阿久沢はすでに死亡しており,死体は城北大学医学部に解剖用として保管されていたはずだが,城北大学医学部助手の金田は阿久沢の死体が盗まれたという.
盗まれたダイヤを質入れに来た男がいるという情報を受けて現場に急行する警察とSRI.逃げる男に虎井はスプレー式の化学銃を発射.男はぐったりする.この化学銃はケミカル・メース=麻酔銃(人喰い蛾パイロット版の前にここですでに登場している).が,再び男は逃走する.今度はスカンク・ガン=臭気銃を発射したところ男の背中に命中して,ペスがその匂いを頼りに犯人を追う.犯人は車に乗り逃走するが,ペスがさらに追う.ペスには電波発信機が取り付けてありSRI専用車はペスの電波を捉えて追跡する.(ちょっとこの設定には無理がある)
事件の主犯は城北大学の梶田教授の研究室の助手の金田であった.阿久沢という犯罪人の死体を盗み出し,サイボーグ化して甦らせ盗みをさせていたのだ.金田はドイツに留学して世界一の外科医のチンメルマンの研究室で学びたいと切望していた.金田はドイツに行くために逃走中に阿久沢を車から振り落とす.翌日空港に向かう車の中で運転する金田を背後から突然阿久沢が襲う.車はガードレールに衝突し炎上.海に落下する.
ラストシーンで虎井(牧)がつぶやく.
「世界に飛躍できるのは,人間性を大切にする頭脳だけだ.悪い種は芽を出す前につみとらなければいかんのだ…」
恐怖人間・恐怖のチャンネルNO.5(準備稿)
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「死を呼ぶ電波」の原作.内容も殆ど同じである.
平城京のミイラ(準備稿)
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近畿運輸KKワンマン社長:大川淳三には娘のるり子がいた.るり子は古都に憧れていた(美弥子的).彼女の婚約者である時夫は畿内大学の研究所でミイラを研究している.研究対象は黄金に輝く長屋王のミイラである.
淳三は時夫とるり子の結婚に猛反対する.ある夜,るり子の前に長屋王が当時の姿そのままに現れて消えた.そして別の日,近畿運輸所属のタンカーの進む方向に,巨大な金色のミイラが海の上をゆっくりと船に向かって歩いてくる.船はこれを避けようとして座礁する.知らせを聞いた淳三が飛ばす車の運転手も突然巨大なミイラが道の真ん中に立っているのを見て急ハンドルを切り,崖から海に転落し淳三は死亡する.
長屋王のミイラを覆う金箔は宇宙線を吸収する力を持っており,この金に集まった宇宙線が,ミイラの腐敗を防いできたのだった.古代の奇跡.そしてこの金箔の粉を飲むと宇宙線が体内に蓄積される.すると精神は錯乱状態になり幻覚を生みだすである.時夫は近畿運輸をささいな理由でクビになった3人をそそのかし,金箔を被害者に飲ませた後にミイラの話をし,幻覚を見させていたのだった.
奈良の歴史的に重要な地区が宅地のために次々と破壊されていく.これを防ぐために時夫は大川淳三の財産に目をつけ,るり子の好みを利用してミイラの幻影を見せ結婚しようとした.淳三の不正の金を歴史の研究に使うためであった.(この部分のコンセプトは「京都買います」に通じる)
ラストシーンに印象的なセリフ.
的矢:「目的のためには手段を選ばないのか」
時夫:「馬鹿を言うな!この世の何処に目的のために手段を選ばない奴がいるか!アメリカを見ろ!ソ連を見ろ!」
誘拐魔(準備稿)
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「ジャガーの眼は赤い」の原作であり,ストーリーは放映版とほぼ同じである.
このシナリオには「ホログラフィ」ではなく「フォノグラフィ」と書かれている.
伝説の海(決定稿)
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夜の瀬戸内海.休暇中の三沢と野村が釣り船から釣り糸を垂れている.するとあたりに変な匂いがしたかと思うと,突如,海面が明るく輝いて1枚の青畳に乗った老僧が現れる.あれは平家の亡霊の仕業だと騒ぐ船頭の源吉.同じような亡霊騒ぎが続き,怪事件としてSRIは調査を開始する.
そして調査中の三沢の前に真弓と名乗る娘が現れ,津村伸夫という男が失踪しているので探して欲しいと依頼する.真弓は伸夫のフィアンセで,伸夫は船頭源吉の息子であった.
再び怪事件が起こった.今度は山を切り崩した土砂を満載したトラックの前に,巨大なカブトガニが現れ,驚いた運転手が急ハンドルを切ってダンプが横転した.実はこの一連の事件は土建屋の木村が仕組んだトリックであった.伸夫は木村の仕事の手伝いをしていたが,あくどい手口を知り過ぎてしまったため邪魔になり木村に殺されてしまったのだ.
そして伸夫の遺体を埋めた場所は源吉が所有する山で,源吉が絶対に手放さないと考えていたのに,競合の大和土建に山を売ってしまったので,このままでは遺体が見つかってしまう為に山を崩させまいと妨害していたのだった.
妨害手段として木村はオプチカル・ガスを用いていた.このガスは日本陸軍が開発した無色透明のガスで,それを通すと拡大レンズと同じ効果を示す.これで巨大な幻影を見せていたのだった.