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星状神経節ブロック

星状神経節ブロックとは,頸部の交感神経節である星状神経節およびその周囲に局麻薬を注入することにより,コンパートメントブロックとして,その中に含まれる星状神経節および頸部交感神経幹,交感神経の節前・節後線維を遮断する.その結果,支配領域である頭頸部,顔面,上肢,上胸部に効果をもたらす1.2).同部位の疼痛性疾患および末梢循環障害などに有効である.その作用機序には,内分泌系,免疫系の関与も考えられている.
1.解剖と生理
星状神経節は,下頸神経節が第1胸神経節まれに第2胸神経節と癒合したものである.頸部交感神経節に入る交感神経節前線維の全てが星状神経節を通過する.星状神経節は第1胸椎の高さで肋骨頸に接するように位置するものが多い3).
星状神経節ブロック後には,交感神経遮断効果によりブロック側で顔面の紅潮,上肢温の上昇,鼻粘膜の充血による鼻閉,コリン作働性交感神経の遮断による発汗停止,結膜充血,ホルネル徴候(節後線維の遮断による上眼瞼挙筋の麻痺による眼瞼下垂,瞳孔散大筋の麻痺による縮瞳,Mueller筋の麻痺による眼球陥凹)が起こる4-9).
2.手技および施行上の注意点
星状神経節ブロックでは,緊急の対処を必票とする合併症が発生することもあり,酸素吸入,人工呼吸や血管確保などが可能な設備や救急薬品は必要であり,救急蘇生ができる専門医が施行すべきである.
薬剤:1%リドカインおよびそれに準ずる局麻薬を5~10ml使用する.
針:23-25G,長さ25-32mmの注射針を使用し,カテラン針などの長い針は使用しない.
体位は,仰臥位で頭部をやや後屈して顎を突き出した状態にする.ブロック部位を十分に消毒(0.5%クロルへキシジンエタノール液または0.05%グルコン酸クロルヘキシジン液)した後10),傍気管法で穿刺する.示指と中指で胸鎖乳突筋と気管の間で軟部組織を外側に庄排していき,第6頸椎横突起前結節(Chassaignac’s tubercle)を触れる.さらに1~1.5cm尾側には第7頸椎横突起を触れることもある.第6頸椎横突起または第7頸椎横突起基部の骨に針があたったら,針先を動かさないように注意して注射器および針を保持して吸引を行う.血液の逆流のないことを確かめた後,少量(0.5~1ml)の局麻薬投与後に再度血液の逆流のないことを確認し薬液を少量ずつ注入する.
ブロック後,術者の示指指先を刺入部に当て抜針し,まず術者が圧迫し,次に患者のブロック反対側の指を穿刺部へ誘導し,5分程度圧迫させる.患者自身で圧迫が困難な場合や血管を穿刺した場合は,医療者が圧迫する.ブロック後は20~30分程度の十分な観察を必要とする.意識の有無および呼吸状態を頻回に観察することが大切である.状況に応じて圧迫時間,安静時間を延長する.異常の認められないことを十分に確認して帰宅させる.
3.合併症1-3,11,12)
反回神経麻痺による嗄声,腕神経叢麻痺によるブロック側上肢の脱力・しびれ,血管内注入(椎骨動脈注入),食道穿刺,硬膜外脛注入,クモ膜下腔注入,咽後間隙血腫(頸部血腫形成:遅発性に発生する場合があるので,帰宅後にも注意が必要である),感染(椎体炎,椎間板炎,咽後膿瘍)などがある.
これらの合併症の中で,頸部血腫形成による呼吸困難,血管内注入による局麻薬中毒やけいれん,クモ膜下注入による呼吸困難や呼吸停止など重篤なものでは,迅速な対処がなされれば救命が可能であるが,適切な対処がなされない場合には死亡した症例がある.帰宅後に異常が出現した場合の連絡先等について,明確にしておくことが必要である.また,緊急時に迅速な対処ができるような体制の整備が必要である.
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※「ペインクリニック治療指針」から抜粋


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